呼吸器内科

呼吸器内科

肺や気管支などの呼吸器に痛みや不快感が起こる事はよくあります。例えば、風邪をこじらせたときは、咳が止まらなくなったり、喉の痛みが続いたり、呼吸が苦しい状態が長引くことがあります。また、特に激しい運動を行っていないのに、息切れしたり、胸が苦しくなる症状も起こります。呼吸器内科は、こうした様々な症状が出たときに、必要な検査と治療を行う専門の診療科です。気管や気管支、肺、横隔膜などに生じる疾患が中心ですが、鼻や咽頭、喉頭も気管支や肺に繋がっているので、これらに異常が生じた場合も呼吸器内科で対応することが出来ます。

このような症状はご相談ください

  • 咳や痰が続いている
  • 熱がなかなか下がらない
  • くしゃみ、鼻水、鼻づまりが続いている
  • 血痰が出た
  • 喉が痛い
  • 息切れがする
  • 呼吸が苦しい
  • 喉から「ヒューヒュー、ゼーゼー」という音がする
  • 胸部の異常な陰影を指摘された
  • タバコが止められない
  • いびきを指摘されたことがある

など

息切れは呼吸器異常のシグナル

健康な方でも、激しい運動を行ったときは息苦しくなり、息切れします。しかし、身体に過度の負担をかけていないのに呼吸が乱れるのは、心臓や肺などに何らかの異常が生じている可能性があります。こうしたサインを放置していると、心筋梗塞や脳出血など重大疾患を引き起こしかねません。まずは呼吸器内科を受診し、治療の必要性をご確認ください。

呼吸器内科で扱う主な疾患・治療

  • 長引く咳
  • 気管支喘息
  • 間質性肺炎
  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  • 気管支炎

など

代表的な呼吸器疾患

長引く咳

咳が1~2週間以上続く場合、単なる風邪による咳の他に、気管支炎や肺炎、特殊な菌(マイコプラズマや百日咳など)による感染症などを考える必要があります。
咳の症状が3週間以上続いている場合が長引く咳であり、咳が3週間以上続いていて8週間未満であれば遷延性の咳、8週間以上続くのであれば慢性の咳(慢性咳嗽)と診断されます。なお、風邪の症状として現れる咳は、多くの場合2~3週間ほどで治まります。

別の疾患を発症していることも

なお、長引く咳に関しては、原因となる疾患があるとされ、その中で最も多いのが咳喘息です。咳喘息とは、慢性的に咳が続く気管支疾患です。症状については一般的な喘息と同じで、気道が狭くなることで、風邪などによる気道の感染、冷たい空気にあたるなど様々な刺激に対して過敏になり、炎症や咳発作が起きるというものです。

そのほかの原因としては、副鼻腔気管支炎症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、慢性気管支炎、感染後咳嗽、薬剤による咳嗽といった疾患も考えられます。咳が長期間続いている場合は、別の疾患を発症していることが考えられますので速やかに医療機関への受診をお勧めします。

気管支喘息

気管支とは、気管から肺に向けて左右に枝分かれした部分を言います。この気管支がアレルギーなどの原因により炎症を起こすようになると、この部分が細くなっていき、呼吸がしにくい状態となります。そして少しの刺激であっても敏感に反応するようになり、やがて喘息の発作を引き起こすようになります。これが気管支喘息で、アレルギーが原因(ハウスダスト、ダニ、花粉、特定の)のアトピー型と風邪やインフルエンザ、喫煙、ストレスなどで起きる非アトピー型に分類されますが、小児の場合は9割以上がアトピー型です。

主な症状について

症状としては、呼吸がしにくくなることで「ゼイゼイ」、「ヒューヒュー」などの呼吸音(喘鳴)が出るようになり、肩や全身を使って呼吸をしないと息苦しい状態になる発作が現れるようになります。発作については、夜から明け方にかけて起こることが多く、ひどい場合は仰向けに寝ることができず、座った状態でないと呼吸が難しい場合もあります。また咳が出始めるとなかなか止まらず、痰も増えるようになります。ひどい場合は呼吸が止まってしまうこともあります。

多くの患者様は5歳くらいまでに発症し、中・高生になる頃までには自然に症状が解消していくことが多いのですが、そのまま成人になっても症状が続くということもありますし、成人してから再発するという方もいます。なお成人では、風邪などの気道感染ウイルスが発作を引き起こす原因となることが多いです。

治療について

気管支喘息が疑われる場合は、呼吸機能検査(肺活量や大きく呼吸をした際の空気の通り道を調べる)や血液検査(アレルギー体質の有無などを調べる)、胸部レントゲン撮影、気道過敏性試験などを行うなどして診断をつけます。

治療に関しては、発作時の治療として気管支拡張薬を用います。これは炎症などによって気管支(気道)が狭くなり発作を起こすようになった気道を拡げる効果があるとされる薬です。また、気管支を日頃から炎症させないようにするため吸入ステロイド薬も使用します。これは、ごく微量のステロイド薬を専用の吸入器を用いて口から吸入する治療法になります。このほかにも、鎮咳剤(咳止め)、去痰薬、抗アレルギー薬、炎症を抑える内服ステロイド薬を服用することがあります。また、アレルギーが原因の場合は、アレルゲンをできるだけ避けられる環境づくりも必要です。

喘息について詳しくはこちら

肺炎

肺炎は、がんや心疾患、脳卒中に続いて常に死亡原因の上位に位置している病気です。文字通り肺に炎症を起こすもので、炎症が発生すると発熱や咳、痰、胸痛などの症状が見られるようになります。重症化すると呼吸困難に至ってしまい、命に関わる場合があります。

特に高齢者では注意が必要で、何らかの理由で免疫力が落ちている患者様も、日ごろから注意を心がけることが大切です。肺気腫などの呼吸器疾患の既往症のある方、心疾患や腎疾患のある方、また糖尿病やがんの治療中の方などは、肺炎を併発しないよう、細心の注意を払うことが重要です。

肺に炎症を起こす最も多い原因として、細菌やウイルスへの感染が挙げられます。肺炎球菌や黄色ブドウ球菌、インフルエンザウイルスなどが代表的なものとなっています。この他の原因としては、アレルギーなど自己免疫疾患や、高齢者における誤嚥性肺炎などがあります。

肺炎の診断としては、胸部エックス線検査や胸部CT検査などの画像検査、血液検査などを行います。肺炎を起こすと、画像検査では擦りガラスのように白く影が現れるため、それを確認します。また血液検査では、炎症によって増加する白血球の数値や、CRPというたんぱく質の数値を調べます。

治療について

肺炎の治療は原因によって異なりますが、細菌が原因の場合は抗菌薬を、ウイルスが原因であれば抗ウイルス薬を投与します。脱水症状や著しい血中酸素濃度の低下を引き起こしている場合は入院が必要で、さらに症状が悪化した場合、酸素吸入器や人工呼吸器の装着が必要になってしまいます。

当クリニックでは入院による検査や加療が必要と判断した場合は、連携する病院を紹介いたします。とくに高齢者の方は、日ごろから予防接種を受けるなど、肺炎への備えをしておくことが大切です。

間質性肺炎

間質性肺炎とは、肺胞の周囲にある壁や肺胞同士の間を埋めて固定している組織、いわゆる間質と呼ばれている部分に炎症が起きている疾患のことを言います。

炎症が発生すると肺胞の壁の正常な構造が壊れ、その後修復されるようになるのですが、その際に壁は硬く、厚くなります。人はこの壁を通して酸素を体内に取り込んでいるのですが、このような状態になると酸素が取り込みにくくなり、結果として息苦しさを感じるようになります。

間質性肺炎のタイプについて

なお間質性肺炎には、いくつかタイプがあり、原因不明の場合は特発性間質性肺炎(IIPs)と診断され、CT検査などを行うことで、原因が特定できないながらもその特徴によって6つの病型、まれな2つの病型、さらに分類不能型に分類されます。その中でも特発性肺線維症(IPF)の患者さまが全IIPs患者の80~90%を占めており、次に非特異性間質性肺炎(全患者の約5~10%)、特発性器質化肺炎(全患者の1~2%程度)の順になります。また、原因がはっきりしている間質性肺炎については、薬剤、放射線、膠原病、塵肺、アレルギーなど様々あります。

症状について

このように、いろいろなタイプがみられる間質性肺炎ですが、いずれにしても主症状は息切れ(呼吸困難)や咳で、初期は無症状であることがほとんどで、50代以降に多くの患者様が見受けられます。なお、咳は痰を生じない乾いた咳、息切れに関しては、初めの頃は階段や坂道を上ったことで感じる程度ですが、病状が進行すると日常生活のちょっとした動作でも苦しさを自覚するようになります。

検査および治療について

身体所見や患者さまの訴えなどから、詳細な検査が必要と医師が判断した場合は、胸部レントゲン撮影やCT検査、呼吸機能検査、血液検査を行うなどして診断をつけます。

治療についてですが、喫煙者の方は速やかに禁煙を行います。また原因がはっきりしているのであれば、それを避けるようにします。アレルギーによるものであれば、アレルゲンから遠ざかるようにするなどです。

また、膠原病などの免疫異常、特発性肺線維症以外の特発性間質性肺炎によるものであれば、免疫抑制薬やステロイドなどを使用します。特発性肺線維症の場合は、抗線維化剤(ピルフェニドン、ニンテダニブ)を用います。このほか対症療法として、鎮咳薬なども使用します。動作に関連した呼吸困難を軽減することを目的として、在宅酸素療法が導入されることもあります。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

慢性の炎症が肺に起きることで気道が狭まってしまい、呼吸が困難になる状態や気道の先端にある肺胞(酸素と二酸化炭素の交換を行う組織)が壊れたりする疾患を総称して慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)と言い、これまで慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた病気も含まれます。

COPDを発症する患者さまの多くは、有害なガス含まれる有害物質に長期間曝露されることにより肺が持続的な炎症を起こし、呼吸機能の低下などを起こした状態です。有毒ガスの多くはタバコで、長年の喫煙習慣を背景にした中高年世代の方に多くの発症者が見受けられ、喫煙者の15~20%がCOPDを発症していると言われています。
なお、進行がゆっくりであること、症状が出にくく、気づいた時には息切れが強くなっていることが多いので肺の生活習慣病とも言われています。なお喫煙以外の原因としては、大気汚染物質や特殊な職場環境での粉塵や化学物質の影響、先天的にCOPDに罹りやすい体質の方が発症するといったことが考えられます。

症状について

主な症状ですが、気道の炎症により分泌物が増えることによる咳や痰、動作時の息苦しさ、さらに症状が進行すると安静時でも息が切れるようになります。このほか、患者さまによっては、喘息に似た症状(喘鳴や発作性呼吸困難など)を起こすこともあります。

検査および治療について

喫煙歴が長く、上記のような症状が出ているという方は、COPDが疑われるので、診断をつけるための検査が行われます。主な内容は、呼吸機能検査(スパイロメーター)、胸部のレントゲンやCTの画像検査等になります。

治療に関してですが、喫煙の習慣が原因という患者さまの場合は、まず禁煙から始めます。これにより肺が元通りになることはありませんが、症状の進行を止める、軽減するといった効果が現れます。また、咳や息切れの症状を軽くするため、効果が長く持続するタイプの気管支拡張薬(抗コリン薬、β刺激薬、テオフィリン薬)を使用します。このほか、炎症を抑える吸入ステロイド薬、痰を切りやすくする去痰薬を用いることもあります。

また、非薬物療法として、足や胸の筋肉も鍛える呼吸困難な状態から解放されるための呼吸訓練、足や胸の筋肉を鍛えるなど運動能力を上げる運動療法などの包括的な呼吸リハビリテーションも行います。